デンマーク人の映画監督、カール・テオドア・ドライヤーの集大成と言われる本作。ドライヤーは遺作となった本作で、ヴェネツィア国際映画祭の「国際映画批評家連盟賞」を受賞。夫と上手くいっていない女性・ゲアトルーズは、かつて婚約者だった男性と再会。ゲアトルーズが愛を求めて葛藤する様子が、美しく描かれている。スウェーデンの作家、ヤルマール・セーデルベルイによる戯曲が原作。主演を務めたのはデンマークの女優、ニーナ・ペンス・ローゼ。

■見どころ
①カール・テオドア・ドライヤー監督の最高傑作！映画芸術の1つの到達点にも思える凝った意匠に注目。
②極めて現実的な内容なのに、彫刻のような登場人物たちの会話はまるで夢の中の出来事のよう。
③映画全体から感じ取れる「美しさ」。そして「美」を表現することに対する痛々しいまでの努力。

デンマークが誇る巨匠カール・テオドア・ドライヤー監督によるモノクロ映画。劇作家でルター派牧師のカイ・ムンクによる戯曲『御言葉』を原作に、ドライヤー自ら脚色を加えた。20世紀初頭の農村でのキリスト教の信仰をベースに、農民家族の葛藤と信仰の真髄を問う。室内劇の形式を用いてリアルに描かれている。第16回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を、第13回ゴールデングローブ賞で最優秀外国語映画賞をそれぞれ受賞した。

■見どころ
①緻密に計算された構図とライティングにより、モノクロの芸術的な映像が際立っている。
②キリスト教がテーマだが、普遍的な家族のあり方や生き方について大きく捉えた傑作である。
③タイトル通りの奇跡的なラストシーンは、印象に残る映像体験になること間違いなし。

デンマーク人映画監督カール・テオドア・ドライヤーは「吸血鬼」が1932年に公開されて以降、法律雑誌の編集者として働いていた。10年以上映画を撮影していなかったが、ナチスドイツのデンマーク侵攻を契機に映画活動を再開。1943年に公開された本作は、ヴェネツィア国際映画祭で「審査員特別賞」を受賞した。作品の舞台は1623年のノルウェー。「裁かるゝジャンヌ」と同じように、「魔女狩り」における人間の内側が描き出されている。

■見どころ
①「魔女狩り」は決してこの映画の中心ではない。「魔女狩り」に繋がる人間たちの内面の描写が素晴らしい。
②アンヌの表情の素晴らしさ。目が映し出されるだけで全ての感情や想いが痛いほど伝わってくる。
③モノクロの映像でこれほど人間の表情を生々しく映し出せるものなのか。映像へのこだわりに感動した。

ジャン＝リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォーら多くの巨匠に影響を与えたデンマークの映画作家カール・テオドア・ドライヤーが手がけた作品で、彼にとって初のサウンド映画となった吸血鬼ホラー。アイルランドのゴシック作家シェリダン・ル・ファヌーの小説を基に、吸血鬼の棲家に足を踏み入れた青年の恐怖を描く。削ぎ落とされたセリフと数々の撮影トリック、緻密に重ねられた音響により、緊張感たっぷりに描き出す。

■見どころ
①不吉な夢の中のような、ぼんやりとした幻想的な映像演出が美しくて印象に残る。
②影を使った巧妙な演出など、CGのない時代ならではのモノクロを活かした映像が楽しめる。
③観ている側の想像力が掻き立てられるような、無駄のない演出がユニークで面白い。

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デンマーク出身の名映画監督、カール・テオドア・ドライヤーの幻の作品と言われた本作。1928年にデンマークとフランスで公開されたものの、教会と異端審問官の過去を告発するような内容から規制の対象となる。さらに同じ年、火災によってオリジナルのフィルムが焼失してしまう。その後1981年に複製されたフィルムが偶然発見されるまで、半世紀に渡って映画上映が行われていなかった。また表現する内容も特殊であることから、日本で公開された際も賛否は大きく分かれた。

■見どころ
①ジャンヌダルクの悲劇を基に作られており、人間の弱さと愚かさが残酷なまでに突き付けられる。
②印象的な裁判のシーンはほとんどが人の顔のアップ。ドライヤーらしい「人間」そのものを写す映像。
③無声映画ではあるものの、撮影時は俳優たちに全てのセリフを話させていたというこだわり！

『裁かるゝジャンヌ』『奇跡』などの名作で知られ、ジャン＝リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォーら多くの巨匠に影響を与えたデンマークの映画作家カール・テオドア・ドライヤーが手がけたサイレント映画。コペンハーゲンに暮らす人々の日常をユーモアとリアリズムを交えて描き、フランスをはじめ世界的にヒットを記録した。カリン・ネルモースのデビュー作であり、多くの人からデンマーク映画の古典と見なされている。

■見どころ
①サイコパスで亭主関白なあるじは、100年経つ今でも既視感のある皮肉が効いている。
②表情や動きの演出だけでも内容が分かるよう工夫がされていて、初心者でも観やすい。
③第二波フェミニズムより前に作られたという背景を考えると、当時は前衛的作品だった。

『裁かるゝジャンヌ』『奇跡』などの名作で知られるデンマークの映画作家カール・テオドア・ドライヤーが、1924年にドイツで手がけたサイレント映画で、彼のお気に入りの作品だったという。脚本は彼とテア・フォン・ハルボウが共同で担当。デンマークの作家ヘアマン・バングの自伝的小説を原作に、芸術家の愛と孤独と死を耽美的に描く。『復讐の夜』『魔女』などの監督である巨匠ベンヤミン・クリステンセンが主人公の画家ゾレを演じた。

■見どころ
①100年前の男性同士の恋愛物語は貴重な作品だが、当時の時代背景を感じられる。
②ドライヤー監督作品の中でも、とりわけ耽美でロマンチックな世界観が印象的な作品。
③サイレントかつモノクロという限られた演出が逆に観ている側の想像力を掻き立てる。

カール・テオドア・ドライヤー

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