2023年に制作された日本映画。山奥にある小さな集落を舞台に、寡黙な父の巧と一人娘の玲花の心の交流が描かれる。濱口竜介監督が手掛けた作品で、同年ヴェネツィア国際映画祭で審査員賞にあたる銀獅子賞を獲得した。この栄誉により、濱口監督はアカデミー賞を含む世界三大映画祭で主要な賞を受賞した黒澤明に次ぐ歴史に名を刻む日本人監督となった。主要キャストには大美賀均、西川玲、小坂竜士、渋谷采郁、菊池葉月が名を連ねる。

■見どころ
①ヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞を受賞した監督の独特な視点と演出に、日本映画の可能性を感じる。
②善と悪の境界線について深く掘り下げられており、観る者に倫理的な問いを投げかけてくる。
③キャストたちの演技は物語のリアリティを高めているため、感情移入がしやすくなっている。

第80回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した濱口竜介監督作『悪は存在しない』で主演を務めた大美賀均が、監督としてメガホンをとった家族ドラマ。彼女は普段は映画の制作部や演出部で活動しており、今作が初めての劇場公開監督作品となった。物語は彼女の知人の実体験を基に描かれており、再婚を繰り返す母親の再婚相手の兄を紹介された女性が、養子縁組していく中で兄への父性を感じていく。出演は『蝶の眠り』の澁谷麻美ら実力派揃いだ。

■見どころ
①母親の5度目の結婚相手の兄の養子になるという複雑な環境の女性の生き様が描かれている。
②自身の戸籍が変わることなどに戸惑いつつも面白がるような主人公に興味が湧く。
③複雑だけどネガティブになりすぎない人間らしいキャラクターたちに元気をもらえる。

映画監督の杉田が偶然出会った女性・マリと恋に落ち、映画出演を依頼する場面から始まる物語。マリが出会う人々との交流や人生を見つめ直す様子を描いている。マリ役にはフランスリメイク版の『キャメラを止めるな！』にも出演した成田結美、映画監督・杉田役にはこれまで数々のドラマや映画で名演技を披露してきたピエール瀧が抜擢された。本作は主に短編映画の監督として活動してきた高野徹がメガホンをとり、監督として初長編作となっている。

■見どころ
①誰かを愛することについて考えさせられ、気づけばほっこりと温かくなるストーリーが魅力
②マリとユーモラスな恋バナを繰り広げるフミコのキャラクターが愛らしく、誰もがその魅力に惹きつけられる
③4章構成となっている物語で、現実を非現実と思わしきパートでは不思議な感覚に襲われる