ドキュメンタリーと劇を交互に描いた映画作品。草野なつか監督の長編第2作であり、演出による俳優の身体の変化に着目した新感覚の作品だ。いわゆる本番テイクが存在せず、俳優がリハーサルや脚本の読み合わせによって役をものにしていく様子が描き出されている。本作は2016年度愛知芸術文化センター・愛知県美術館オリジナル映像作品として製作され、英ガーディアン紙・英国映画協会〈BFI〉による年間ベスト作品に選出された。

■見どころ
①俳優一人一人が役を獲得していく過程やゾーンに入っている様子が真新しい要素で面白い
②今までの映画にない挑戦的で斬新な作品で、観終わった後の余韻もまた醍醐味
③シナリオ自体もこだわりが見られ、ミステリのような導線の引き方に思わず惹きつけられる

広島、長崎、福島という未曾有の体験を経た都市の過去と現在を複眼的に捉え、演劇作品を制作してきたマレビトの会。そのプロジェクトメンバーであり、これまで劇作家や俳優として参加してきた4人の若手監督が監督を務める。被爆都市である広島を題材にした短編オムニバス映画。そこに住まう人々の、歴史から零れ落ちる日常の時間を多角的な視点で描いた4編構成。第24回東京フィルメックスのメイド・イン・ジャパンとして上映。

■見どころ
①演劇カンパニーによる長期プロジェクトの一環として作る、記念すべき初の映画作品。
②爆心地から約1kmの場所で胎内被曝した女性など、今も残る爪痕をリアルに描いた。
③歴史上の大きな出来事にまつわる人々の日常に焦点をあてたことで自分事として考えられる。

草野なつか

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