俳優として「ロストパラダイス・イン・トーキョー」などに出演した小林且弥が、長編映画の監督に初挑戦した作品。ピエール瀧とは「凶悪」での共演以来のタッグを組み、福島県の港町を舞台にした感動のヒューマンドラマを描く。妻との別れを受け入れられない真吾を瀧が熱演。真吾の娘・奈生には「青葉家のテーブル」で注目された栗林藍希が扮する。「夜を走る」の足立智充や「ピンカートンに会いにいく」の内田慈、「仮面ライダージオウ」の押田岳、「MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」の円井わんなどが脇を固める。

■見どころ
①高齢者や生活困窮者の死と向き合い散骨を請け負う主人公の姿が、痛いほど心に突き刺さる。
②愛する人の死に時間を止めていた親子が葛藤を経て向き合うまでの物語が丁寧に描かれている。
③人生に対する悲しみとも諦めともつかぬ複雑な感情を秘めた父親の静かな横顔が印象的。

高度成長期に造られてから半年が経ち、公園や団地が広がる静かな場所・多摩ニュータウン。そこで暮らす3人の女性が街を移動し、街の記憶に触れながら見ず知らずの人のことを想像する物語。監督は清原惟。主役の3人の女性は知珠役が「ふきげんな過去」の兵藤公美、早苗役が「小さな声で囁いて」の大場みなみ、夏役が「レジェンド＆バタフライ」の見上愛となっている。2023年には第73回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に出品された。

■見どころ
①街の記憶と人の想像が映画や音楽、ダンスなどの表現手法で魅力的に描かれる。
②個性的な女優たちがそれぞれの役柄に深く感情移入し、微妙な表情やしぐさで人物像を見事に表現している。
③春の日差しや夜の闇によってさまざまな表情を見せる多摩ニュータウンという街に興味を抱く。

新宿歌舞伎町でたむろしている少年少女たちを中心とした群像劇である、AOI Pro.主催の同名舞台をスクリーンで鑑賞できる劇場版作品。舞台の脚本と演出を担当しているのは演劇作家の岡本昌也で、本作で2023年度の「サンダンス・インスティテュート／NHK賞」において推薦作家として選出されている。衣装はすべて手作業によるファッションを製作・販売している、新進気鋭のデザイナーyushokobayashiが務めた。

■見どころ
①歌舞伎町の「病みかわいい」などの独自の美的感覚で構築された世界観がとても華やか。
②SNSなどでのキラキラした見た目とは裏腹に、暗部のカルチャーを表出させるという社会性もある。
③魅力的な登場キャラクターが多く、それぞれで確立された個性があるため推しを探したくなる。

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精神を壊し恋人の元から逃げ出したナズナと道端の草花を愛する優しいコタロウとの生活を描く。監督・脚本は『海辺の生と死』や『アレノ』など手掛けた越川道夫。「誰でもない恋人たちの風景」をテーマにした『背中』『さいはて』に続く3部作最終章となる。主演は『過激派オペラ』や舞台で活躍中の佐久間麻由。共演は越川監督の『アレノ』で映画デビューを果たし『佐々木、イン、マイマイン』などにも出演した遊屋慎太郎や『愛のむきだし』の永岡佑ら。

■見どころ
①互いに傷つけあいながらも少しずつ前に進もうとする主人公たちに、暗いながらも一筋の光を見る。
②2人の男の間で揺れるナズナの心情を見事に表現した佐久間麻由の繊細な演技は見逃せない。
③ナズナの元恋人で共依存の関係にあったDV男・キタムラ役の永岡佑の鬼気迫る演技が怖い。

俳優の水村美咲が原案・企画・プロデュースに加えて主演を務め、自身がこれまでに感じてきた、夢をかなえ理想の人生を実現していくことの難しさなどをテーマに、登場人物たちが成長していく姿を描いたドラマ。2018年に活動の拠点を関西から東京に移した水村が、2022年に原案・企画・プロデュース・主演を務めて完成させた短編『在りのままで咲け』の姉妹編となる長編作品。監督はテレビドキュメンタリーなどを手がける松本動。

■見どころ
①3人の女性のそれぞれ違った生き方を描いていて、女性なら誰しも共感できるはず。
②理想の人生を実現させていく事の難しさに胸が痛くなりつつも、前を向く元気をくれる作品。
③3人の女優たちが等身大の女性を演じていて、すごく親しみやすさを感じられる。

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