「ケンとカズ」の小路監督が手掛けた8年振りの新作映画。ヤクザの世界で生計を立てる辰巳と家族を奪われ復讐心を燃やす少女葵の運命的な出会いが描かれている。辰巳を演じるのは「の方へ、流れる」や「ONODA 一万夜を越えて」で、その繊細ながらも力強い演技が評価された遠藤雄弥。葵を演じるのは「アイスと雨音」での鮮烈なデビュー以来、「タイトル、拒絶」や「わたし達はおとな」でその存在感を示してきた若手の森田想。

■見どころ
①深い悲しみと絶望を抱えながらも、生きる意味を見出そうとする辰巳というキャラクターに惹かれる。
②愛する人を失った少女・葵の復讐心と葛藤があまりにリアルで観る者の心に突き刺さる。
③伝統的な「ボーイ・ミーツ・ガール」が、ヤクザと復讐を誓う少女というユニークな設定で描かれており新鮮。

「逆光」から2年、渡辺あやと須藤蓮が再度タッグを組んだ2作目であり、須藤蓮は監督兼出演者として携わっている。2人は2018年に放送されたテレビドラマ「ワンダーウォール」で出会った。またこの作品は、構想から約5年の歳月をかけて作られた。須藤は「自分の全てをこの作品に叩き込んだ」と話すほどの力作と豪語する。この作品では生と死、都会と海、始まりと終わりなど、さまざまな対比が描かれている。

■見どころ
①まだまだ無名の役者たちの演技が輝いている。ちょっとした仕草にも注目してほしい。
②情景や雰囲気の美しさ、音楽のセンスが抜群。知らない間に世界観にのめり込んでしまう。
③登場人物たちの心情の揺れ動きが絶妙。誰がみてもかなり共感できるものだった。

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